2023年12月2日(土)~8日(金)下高井戸シネマにて開催!
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《特集1:directer in focus》
ジョン・モリツグ、緑川珠見、居田伊佐雄。今、発見されるべき、 三人の映画作家を特集。
日系アメリカ人でパンクの映画作家ジョン・モリツグ。1985年に映画制作を開始以降、DIYの精神を貫き、ローファイ映像とパンク・ミュージックに乗せて、ジャンル映画を脱構築するアナーキーな作品を作り続ける。今回は、日系モデル・マイノリティの善良なイメージを徹底的に破壊する2本の問題作を日本初公開。2023年にオリジナル・ネガより作成された2Kレストア版による上映。
『蟹牡丹』(1991)
『サルビア姉妹』(1995)
『破壊する光は訪れる』(1996)
『GARNET』(1996)
個人や家族の内に潜む愛憎や欲望を、独自のシュールなイメージと言葉で描き出す緑川珠見。美術や舞踏を経て映画に辿り着いたその作品は、自由にスタイルを変えながらも、耽美で生々しい身体性を持ち、観る者の精神を揺さぶる。映画の知識なしに制作を始めた緑川の、既存の映画を超えた感性の世界。その独自性は、マヤ・デレンやウルリケ・オッティンガーとも通じる。長らく公開されていなかった8㎜の代表作を一挙公開。
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】
デビュー作『Far from the explosive form of fruit』(1972)、『オランダ人の写真』(1976)、『子午線通過』(1977) など、ミニマルで緻密な構造映画11作品。
[上映作品]
『Far from the explosive form of fruit』(1972年/日本/8分/カラー)
『ASCENSION』(1972年/日本/4分/カラー/サイレント)
『マリリン・マグダリーン』(1972年/日本/9分/カラー)
『オランダ人の写真』(1976年/日本/7分/カラー/サイレント)
『気流』(1975年/日本/14分/白黒/サイレント)
『プレパラート(100フィート版)』(1977年/日本/3分/カラー/サイレント)
『鉱物学者』(1977年/日本/11分/カラー/サイレント)
『子午線通過』(1977年/日本/5分/カラー)
『ハンマー』(1977年/日本/5分/カラー)
『北半球』(1878年/日本/9分/カラー)
『満潮』(1981年/日本/7分/カラー)
『居田伊佐雄作品集2』 (1982-1991)
『エコー』(1982)、『影踏み』(1983)、『大きな石小さな夜』(1991)など、自然や物質を驚異的な撮影技術で捉えることで静かな詩情を表出する、写実的作品集。
[上映作品]
『エコー』(1982年/日本/9分/カラー)
『回路計』(1983年/日本/15分/カラー)
『影踏み』(1983年/日本/14分/カラー)
『地球の石』(1986年/日本/36分/カラー}
『大きな石小さな夜』(1991年/日本/13分/カラー)
70年代初期より個人映画を制作し、その緻密で端正な作品が国内外で高い評価を受けた映像作家・居田伊佐雄。長い間映画の世界と距離を置き、上映が困難だった至高の作品群がついに復活。映画の原初的な驚きが躍動するミニマルな構造映画から、自然を繊細に捉えるカメラの眼がマクロとミクロを繋ぐ幽玄の世界を生み出す作品まで、代表作を網羅した2プログラム16作品。
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】
《特集2:Burning NAGOYA ‘80s》
長谷川久 / Hisashi Hasegawa
『ねんねこりんりん』(1981)
キャンプ感覚満載のトラッシュでキュートなSFラブ・メルヘン。近親相姦、天女の策略、地球の破滅…、幾多の困難を乗り越え、はればなれになったカップルが新しい星で結ばれるまでを壮大なスケールとチープな演出で描く、インディーズ・カルトの傑作!長谷川自身によるポップな音楽も秀逸。
★1981年ぴあフィルムフェスティバル入選
『とまとぴん』(1982)
イジメを受ける聖子ちゃんカットのそら子と孤児のナマオは出会い、野菜を育てながら新生活を開始。しかし、ナマオは母を探して旅立ち、そら子は野菜の妖精ニーナにもらった魔法のトマトを手にナマオの後を追う…。キッチュで愉快な奇想天外メロドラマ。少年王者舘の天野天街が妖精ニーナを怪演。
★1982年フジ8mmコンテスト入選
【両作品ニューデジタル版・ワールドプレミア】
河原木宏尚 / Hironao Kawaragi
『乱 ・Easter』(1981)
大島渚をして「品性下劣!」と言わしめた超問題作。パンクと土着のアナキズムが炸裂する暗黒世界が圧倒的な速度で展開する。アングラ文化の余韻とパンク・アティチュードが融合した、80年代初頭のアンダーグラウンドの感覚が生み出した“ヴィジュアル・スキャンダル”。
名古屋のパンクス、小劇場、舞踏などアンダーグラウンドのスターを総動員したサイバーパンク巨編として構想され、アフリカ・ロケまで敢行しながら、未完に終わった作品。13分に凝縮されたこのパワーは何だ!主演は渡辺まちこと中村達也。The Star Club、白虎社など豪華出演陣にも注目。
【両作品デジタル復刻版・ワールドプレミア】
中村雅信 / Masanobu Nakamura
『生き埋めにされるフィルム達に』(1989)
フェティッシュでエロチックな主題と脅迫的な反復、再撮影による幻想的な作風が世界的に再評価される鬼才が、自作の膨大なアウトテイクを再構成。未公開作品の映像も交え、自身の70~80年代を過激に総括する。フィルムと対象へのフェティシズムとエロティシズムが横溢する、怒涛の142分!
★イメージフォーラム・フェスティバル招待
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】
《特別上映:discovery》
アンダーグラウンドから浮上した、必見の作品を特別上映。
金井勝/ Katsu Kanai
『王国』(1973)
『無人列島』『GOOD-BYE』に続く、”微笑う銀河系三部作”最終章〈天の巻〉は、〈時間の神〉に挑戦する、神話的な冒険譚。八王子からガラパゴス、そして天中へ、詩人・五九勝丸が、空間と時間を超えて駆け上がってゆく!大和屋竺、ゼロ次元の岩田信市、城之内元晴、佐藤重臣らの怪演にも注目。70年代初頭にガラパゴス島ロケを敢行した、アングラの帝王の面目躍如たる超大作自主映画!
大木裕之 / Hiroyuki Oki
『心の中』(1999)
現代美術をはじめ多彩に活躍する大木裕之の劇場公開映画の傑作が復活。幾重にも重ねられた映像が、死に向かうゲイ・カップルの意識の流れのように次々と現れては消える。現在の大木裕之の映像作品にも通じる手法により、フィクションとドキュメンタリーを越境する作品。
★山形国際ドキュメンタリー映画祭招待
【ニューデジタル版・ワールドプレミア】
特集『BURNING NAGOYA '80s』に寄せて
へんな人たちだった。
映画もへんだった。
ぴんちゃん(長谷川久監督)も河原木さん(河原木宏尚監督)も、ただ自分の作りたいものを、純粋に作り倒して楽しんでいた。彼らにしかできないものを、あらよっと(まだ二十歳そこそこだった私に)観せてくれた。
名古屋には、こんなやつらがいたんです。
こんな映画、撮ってたんです。
ニューデジタル版で、ざっと四十五年前の彼らの生々しいエネルギーを感じてほしい。のけぞってほしい。
緑川珠見作品に寄せて
『ねんねこりんりん』『とまとぴん』に寄せて
「みなやきゃ、そんだよ」
とまとぴんも、ねんねこりんりんもなんだろうね。民話で神話で、未来の昔話なんだろうね。
甘酔っぱらくて酸っぱくて、恥じらう初恋の栗の華の生死のによいも尿意もするね。
「お行儀の悪い映画ですね」と書いてくだすった大林宣彦も死んじゃったね。だけど映画は残ったね。
めでたくないけどめでたいね。みんな無か死、夢か死のことでした。
おもちろくて、すわりしょんべん、びっくりぎょろてんまちがいござらん映画だよ。
みなきゃ、そん!
ジョン・モリツグ作品に寄せて
日系アメリカ人というルーツを持ち、NYシネマ・オブ・トランスグレッションから西海岸へ横断しパンクやローファイ音楽をかきならすジョン・モリツグのチープでスカムな世界。混沌とした掃き溜めの中を、物語というものを否定するかように気の向くままに動き回る登場人物たちの奔放さは清々しいほど破滅的!
*上映後トークショー 12/5 ⑪大木裕之(アーティスト)+鈴木章浩(監督)、 12/6 ④緑川珠見(監督)、12/7 ①上條葉月(字幕翻訳) 追加ゲスト予定。決まり次第発表します。
◆ 料金:1,300円均一 (火曜サービスデー:1,000円、障がい者・同伴1名:1,000円)*各種割引なし
※チケット販売は当日窓口のみ。前売り、予約、オンライン販売はありません。
開館時間(最初の上映作品上映開始20分前)より購入可能。整理番号順での入場となります。
※トークゲスト、イベントは決定次第アップします。
◆ 料金 一般:1,300円、サービスデー(水曜):1,200円 、 シニア(60歳以上):1,200円
学生・会員:1,100円 ハンディキャップ:1,000円 ※回数券・招待券使用不可
◎オンラインチケット購入 http://www.cinenouveau.com/ticket/ticket.html
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